春の艶めきを糸からまとう織りの着物の魅力

経糸と緯糸が奏でる紬など織りの着物の美しき世界は繊細で着る人をやさしく輝かせます。極上のファッションとして着物を楽しみたい現代人にとってコーディネートによりがらりと変わる表情の豊かさが織りの魅力です。持っているだけでもうれしくなる織りの凝った振袖は大人の女性の晴れ着になります。原糸から糸を作り独自の素材感を出すなど、作家ものといわれるものから伝統的な産地の織ものまでさまざまです。手引き意の真綿糸のやさしさを存分に味わうこともできますし、織りの技で生糸と座操り糸を組み合わせた経糸をロートン織りと経絣でさらりとさせるなど、糸の輝きを生かしたものもあります。玉糸を織り込んだ訪問着は表情豊かな糸づかいをめでてくれますし、茜と阿仙で染めた玉糸を織りいれることで、大人の女性に似合う薄紅色の着物に仕上がります。

現代人にも好まれる紬の着物の魅力

着物を着る人は昔に比べれば少なくなったものの、紬の着物の人気は定着しています。ショートカットの女性でも似合いますし、やわらかもののように気負いがなく着ることも可能です。紬は現代女性に好かれる理由をいくつももっていて、紬を着ていると自然とものをいつくしむ心が生まれるともいわれます。よく紬はスーツにたとえられますが、アンサンブルというよりは単品のコーディネートに近くなります。それは、組み合わせによってセンスにものすごく差が出るからで、素朴な分、着る人の個性がはっきりとあらわれるのが特徴です。つまり、人の中身がよくわかるということです。つむぎの着こなしでは色衿でゆるやかに着けることで着る人の知性や凛としたものがにじみ出てきます。また多少、着崩したとしてもそれが味になるので、わざわざきちんと着付けをしてもらいにいかなくても、自分の着付けで十分なので気軽に着ることが可能です。

織りの着物に春色の帯で女らしく

一枚の着物を女らしく着こなすには織りの着物に甘い色のかわいい柄の帯でよそいます。やさしいピンクの紬地に大きく辻が花模様を染めたものなら控えめで上品な色合いで女性らしさをプラスすることが可能です。また、淡いピンク地に枝桜を染めた名古屋帯は控えめな色合いなので桜の季節にも使えますし、木版と型紙を使用した染め帯はピンクの濃淡ではんなりとした雰囲気をかもし出してくれます。モダンな更紗柄を染めた紬地の袋帯のように趣味性の楽しい柄は無地感覚の着物にあわせて個性的なコーディネートに仕上げるのがコツです。そして、楽しい花見風景を表現した染め帯は桜を待つ三月に使用するのがよく、幔幕に描かれた伝統的な模様が味わい深さを出してくれます。ほかにも小豆色の紬地にくっきりと洋花を描いたカジュアルなデザインの染め帯は格子や縞の紬によく似合います。